まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
結論:体幹トレーニングは「止める→回す→つなげる」の順で進める
- セルフチェック(1日目):3つのテストで、自分の弱点を確かめます。
- 止める系(1〜4週目):プランク、サイドプランク、バードドッグ、デッドバグをやります。
- 回す系を足す(3週目〜):オープンブックで胸の背骨(胸椎)を回します。
- つなげる(5〜8週目):パロフプレスと片脚デッドリフトで、立った姿勢のまま体幹を使います。
注意
要旨には参加人数や上がった幅が書かれていないため、この記事では「止める系のほうが回旋の動きに良い変化が出た」という結論にとどめます。
「止める系」と「回す系」の違い

| 耐える方向 | 代表種目 | スイングとの関係 |
|---|---|---|
| 反り | プランク、デッドバグ | 切り返しで腰が反ると力が逃げやすい |
| ねじれ | バードドッグ、パロフプレス | 腰がつられて回らないように止め、捻転差を保つ |
| 横倒れ | サイドプランク | インパクトで体が横に傾くのを防ぐ |
補足
クランチ(上体起こし)は「曲げる」運動で、どちらの系にも入りません。悪い運動ではありませんが、この記事では優先度を低めにしています。
準備と3問セルフチェック
| 結果 | タイプ | 優先すること |
|---|---|---|
| テスト中に腰が痛む | 腰痛がある型 | 中止して医療機関で相談する |
| Q1かQ2が「いいえ」 | 安定性不足型 | 止める系を優先する |
| Q1・Q2は「はい」、Q3は「いいえ」 | 胸椎が硬い型 | オープンブックを1週目から行う |
| すべて「はい」 | 基礎クリア型 | 立位・片脚の種目へ早めに進む |
注意
この研究でも差の大きさ(効果量)は小さく、著者は「動作テストで腰痛のリスクがある人を見分けることはできなかった」と結論づけています。また、研究で使ったテストの手順は、この記事の家庭向けの簡易版とは同じではありません。セルフチェックはメニューを選ぶための目安で、診断の代わりにはなりません。
自宅でできる8種目と8週間メニュー
| 種目 | 分類 | 腰への負担 | 器具 | 初心者の目安 | 50代以上の調整 |
|---|---|---|---|---|---|
| プランク | 止める系(反り) | 低 | なし | 20〜30秒×2 | 膝をつく |
| サイドプランク | 止める系(横倒れ) | 低 | なし | 左右15〜20秒×2 | 膝をつく |
| バードドッグ | 止める系(ねじれ) | 低 | なし | 左右5秒×6回 | 手だけ・脚だけから |
| デッドバグ | 止める系(反り) | 低 | なし | 左右交互6回×2 | 膝を曲げたまま |
| パロフプレス | 止める系(ねじれ) | 低〜中 | チューブ | 左右8回×2 | 弱いチューブで膝立ち |
| 片脚デッドリフト | 止める系+股関節 | 中 | なし | 左右6回×2 | 椅子に手を添える |
| オープンブック | 回す系(胸椎) | 低 | タオル | 左右8回 | 回す幅を小さく |
| クランチ | 曲げる系(参考) | 中 | なし | 10回×2 | 必須ではない |
※回数・秒数・腰への負担は、一般的な初心者向けの目安です。研究で決められた数字ではありません。
種目のやり方
- プランク:肘を肩の真下につき、頭からかかとまで一直線に保ちます。息は止めません。
- サイドプランク:横向きで肘をつき、膝(慣れたら足)で支えて腰を持ち上げます。
- バードドッグ:四つん這いで右手と左脚を床と平行まで伸ばし、骨盤を傾けずに5秒止めます。
- デッドバグ:仰向けで腕を天井へ伸ばし、膝を90°に曲げて脚を浮かせます。腰を床につけたまま、反対側の手と脚をゆっくり下ろします。
- オープンブック:横向きで膝のあいだにタオルを挟み、上の腕を本を開くように後ろへ回します。膝が浮かない範囲で止めます。
- パロフプレス:胸の高さに固定したチューブに対して横向きに立ち、胸の前から腕を前へ押し出して2秒止めます。体が引っ張られて回らないように耐えます。
- 片脚デッドリフト:片脚で立ち、背中をまっすぐにしたまま股関節から上体を倒します。骨盤が開かないようにします。
8週間のスケジュール
| 期間 | 内容 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 止める系4種目 | 週3回・各2セット・10〜15分 |
| 3〜4週目 | オープンブックを追加し、キープを5〜10秒延ばす | 週3回・15分 |
| 5〜6週目 | パロフプレス・片脚デッドリフトを追加 | 週3回・止める系は3セット |
| 7〜8週目 | 立位種目を中心にし、練習前のウォームアップにも入れる | 週3回+練習日 |
8週間でヘッドスピードはどれくらい伸びる?
- Westonら(Medicine & Science in Sports & Exercise、2013年):クラブレベルのゴルファー36人。8週間、体幹だけを鍛えるトレーニングで、対照群と比べてヘッドスピードが3.6%(90%信頼限界±2.7%)、筋持久力が61%(±33%)上がりました。著者は効果を「おそらく小さな改善」と表現しています。ヘッドスピードのばらつきも小さくなりました。
- Johansenら(Sports Medicine、2026年、メタ分析):4週間以上の身体トレーニング全般(体幹だけではない)を調べた33研究・798人をまとめました。対照群がある研究では、ヘッドスピードが平均+1.05m/s(95%信頼区間0.39〜1.71)、キャリーが平均+9.33mでした。ただし、著者はエビデンスの確実性を「低い」と評価しています。
| いまのヘッドスピード | 平均(3.6%) | 下限(0.9%) | 上限(6.3%) |
|---|---|---|---|
| 35m/s | +1.26m/s | +0.32m/s | +2.21m/s |
| 40m/s | +1.44m/s | +0.36m/s | +2.52m/s |
| 45m/s | +1.62m/s | +0.41m/s | +2.84m/s |
※下限と上限は、90%信頼限界(±2.7%)をそのまま当てはめた計算例です。飛距離への換算は、ボールや打ち出しの条件で変わるため載せていません。
注意
研究の対象者の年齢や体力は、読者一人ひとりとは違います。効果を確かめたいときは、始める前と8週間後に、同じ計測器・同じクラブでヘッドスピードを測って比べてください。
つまずきやすいポイントと対処法
| よくある失敗 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| プランクで腰が反る | お腹の力が抜けている | 膝をつく・秒数を短くする |
| 息を止める | 力みすぎ | 秒数を声に出して数える |
| バードドッグで骨盤が傾く | 脚を上げすぎ | 床と平行まで。腰に軽い物を乗せて落とさない |
| オープンブックで膝が浮く | 腰で回している | 回す幅を小さくし、タオルを落とさない |
| 片脚デッドリフトでふらつく | 軸脚の股関節が不安定 | 椅子に手を添え、倒す角度を浅くする |
50代以上・腰痛が気になる人の注意点
- 笹川スポーツ財団「スポーツライフ・データ2024」(2024年6〜7月調査)によると、国内のゴルフ推計人口は912万人、年1回以上の実施率は8.9%です。年代別の実施率はどの年代も9%前後で、大きな差はありません。
- NLC野中腰痛クリニックの調査(2025年2月にインターネットで実施、ゴルフを定期的にする60代以上1,002人、2025年3月13日公表)では、腰への負担を「とても感じる」「やや感じる」人が合わせて66.2%でした。体のどこに負担を感じるかを聞いた設問(複数回答)では「腰」が79.5%で最も多く、腰痛が起きる場面は「ショットを打つとき」が63.6%で最多でした。
- 前述の若手エリートゴルファーの研究でも、6か月で41人中17人(41%)が腰痛を発症しました。
- トレーニング中や翌日に、腰の痛みが強くなる
- 脚のしびれや、お尻から脚へ広がる痛みが出る
- じっとしていても痛い、夜に痛みで目が覚める
- 足に力が入りにくい、排尿や排便の感覚がおかしい
注意
体幹トレーニングは腰痛の治療ではありません。上のような症状があるときは、自己判断で続けずに整形外科などを受診してください。
タイプ別の進め方の例
- 52歳・安定性不足型(Q1が「いいえ」):1〜4週目は膝つきプランクとバードドッグを中心にし、5週目から通常のプランクに切り替えます。パロフプレスは7週目からにします。
- 45歳・胸椎が硬い型(Q3が「いいえ」):1週目からオープンブックを毎日左右8回行い、止める系は週3回続けます。2週間ごとにQ3をやり直し、左右差を確認します。
- 63歳・腰痛がある型:痛みが出る種目は行わず、まず整形外科で相談します。医師や理学療法士の許可が出てから、痛まない種目だけで再開します。
まとめ:まずは今日、3問のセルフチェックから
よくある質問
Q. 毎日やるべきですか?
Q. 50代から始めても意味がありますか?
Q. 腰をひねるトレーニングはしてもいいですか?
Q. 効果はどのくらいで出ますか?
Q. 器具なしでもできますか?
- Weston M, et al. The Effect of Isolated Core Training on Selected Measures of Golf Swing Performance. Med Sci Sports Exerc. 2013 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23698248/
- Wu S, et al. Anti-movement core training modulates abdominal antagonist co-activation and enhances trunk rotational kinematics in amateur golfers. Sports Biomech. 2026 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42572826/
- Johansen MJ, et al. Effects of Physical Training Interventions on Golf Shot Performance: A Systematic Review with Meta-analysis. Sports Med. 2026 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42658467/
- The efficacy of injury screening for lower back pain in elite golfers. S Afr J Physiother. 2023 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9982516/
- Fujii R, et al. Kinematics of the lumbar spine in trunk rotation. Eur Spine J. 2007 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2223353/
- 笹川スポーツ財団「ゴルフ実施率・推計人口」 https://www.ssf.or.jp/thinktank/sports_life/data/golf.html
- NLC野中腰痛クリニック プレスリリース(PR TIMES、2025年3月13日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000120950.html




