ゴルフ 池ポチャ 処置|2罰打を防ぐドロップ地点の正解
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ゴルフ 池ポチャ 処置|2罰打を防ぐドロップ地点の正解

池ポチャでスコアを壊す本当の原因は、池に入れた1罰打ではなく、処置を間違えて誤所から打つ2罰打です。

先に結論をお伝えします。池ポチャの処置は次の3ステップで終わります。

  1. 球が池に入ったと「分かっている、または事実上確実」かを確認する(そうでなければ紛失球扱いで前打地点に戻るしかありません)
  2. 球が池の縁を最後に横切った地点を特定し、そこの杭の色を見る(黄=2択、赤=3択)
  3. 選んだ救済の「球を落としてよい地点」の要件を守ってドロップする(1罰打)

この3ステップ目でつまずく人が最も多く、しかもほとんどの解説記事が触れていません。とくに「後方線上の救済」は、2023年の改訂で球が止まってよい範囲が広がりましたが、球を落とす場所は今も「線の真上」だけです。日本ゴルフ協会(JGA)の『2023年ゴルフ規則の追加の詳説』14.3b(4)/1(2023年4月追加)は、線から横にずらしてドロップした球は「どこに止まったかにかかわらず、たとえ後方線上に止まったとしても誤所にある」と明記しています。訂正せずに打てば一般の罰=2罰打です。

この記事では、公式規則(The R&A/JGA 2023年1月施行版)を根拠に、迷わず60秒で処置を終える手順と、日本のゴルフ場特有のローカルルール(前進4打・ドロップゾーン・対岸の救済)との関係まで整理します。

ポイント

池ポチャそのものの罰は1打だけ。処置ミスの2罰打を足して「3打分」損しないことが、この記事のゴールです。

池ポチャの処置はどうすればいい?全体の流れ

池ポチャの処置は「入水の確実性を確認 → 縁を最後に横切った地点と杭の色を確認 → 救済方法を選んでドロップ」の3段階で、罰は原則1打です。

流れを頭に入れておけば、同伴者を待たせずに処置できます。まずは全体像から確認しましょう。

池ポチャ60秒フローチャート

以下の順に自問すれば、その場で答えが出ます。

Q1. 球はペナルティーエリア内で見えていますか?

  • YES → そのまま打てるか判定します(規則17.1b により、ペナルティーエリア内でもクラブのソールもルースインペディメントの除去も無罰です)。打つなら罰打ゼロ・次は打った球の位置から続行。打たないならQ3へ。
  • NO → Q2へ。

Q2. 球が池に入ったことが「分かっている、または事実上確実」ですか?(水しぶきを見た/複数人が入水を確認した/打球方向的に他に行きようがない)

  • NO紛失球扱いです。規則17の救済は使えず、ストロークと距離(前打地点に戻る)のみ。1罰打・ティーショットなら次は3打目
  • YES → Q3へ。

Q3. 球が縁を最後に横切った地点の杭は何色ですか?

  • 黄杭 → 選択肢A(ストロークと距離=打ち直し)またはB(後方線上の救済)の2択。
  • 赤杭 → A・Bに加えてC(ラテラル救済=2クラブレングス)の3択。

Q4. 直前のストロークはどこから打ちましたか?(Aを選ぶ場合のみ)

  • ティーイングエリア → ティーイングエリア内ならどこからでもティーアップして打てます。
  • パッティンググリーンドロップ禁止・プレース(置く)です。
  • その他(ジェネラルエリア/バンカー/ペナルティーエリア) → 直前の箇所を基点に1クラブレングスの救済エリアへドロップ。

Q5. スコアカード裏やハウスルールに、前進4打・ドロップゾーン・対岸の救済の記載はありますか?

  • ある → その選択肢を追加できます(罰打は掲示内容に従います)。
  • ない → Q3・Q4で決めた選択肢のみ。

各分岐の末端で「合計何罰打か」「次は何打目か」を必ず口に出して確認してください。スコアの数え間違いはここで防げます。

注意

Q2を飛ばして「たぶん池だろう」で救済を受けると、実際は池の外だった場合に誤所からのプレーとなり、追加で2罰打になります。順番を入れ替えないでください。

そもそもペナルティーエリアとは?黄杭と赤杭の違い

そもそもペナルティーエリアとは?黄杭と赤杭の違い

ペナルティーエリアとは、球が入った場合に1罰打で救済を受けられる区域のことで、黄杭は救済2択、赤杭は3択という違いがあります。2019年の規則改訂で「ウォーターハザード」という呼び名はなくなりました。

黄杭(イエローペナルティーエリア)は2択

黄杭のエリアでは、ストロークと距離か後方線上の救済のどちらかを選びます。

グリーン手前の池など、「横に逃げられると易しくなりすぎる」場所に設定されるのが一般的です。横方向の救済がないぶん、後方線上でどこまで下がるかが戦略になります。

赤杭(レッドペナルティーエリア)は3択

赤杭のエリアでは、上の2つに加えてラテラル救済(横方向・2クラブレングス)が使えます。

コース脇を縦に走る池や川、クリークなど、後方線上に下がると別のハザードやOBに入ってしまう場所に設定されます。日本のゴルフ場では赤杭のほうが多く見られます。

杭がない池・線が引かれている場合

杭がない、または白線などで区画されている場合は、線がエリアの縁で、線自体はエリア内です。

委員会が色を指定していない場合、そのペナルティーエリアはレッド(赤杭扱い)として扱われます。判断に迷ったらスタート前にキャディやマスター室に確認しておくと確実です。

補足

池だけでなく、委員会がペナルティーエリアと定めた深いブッシュや谷、砂漠地帯なども規則17の対象です。「水がないのに赤杭」というホールがあるのはこのためです。

処置を始める前に確認すべき3つのこと

処置前に確認すべきは「入水の確実性」「縁を最後に横切った地点」「ローカルルールの有無」の3点で、この3つを飛ばすと処置そのものが無効になります。

1. 「分かっている、または事実上確実」か

規則17.1c は、救済を受ける前提として、球がペナルティーエリアに止まったことが「分かっている、または事実上確実」であることを求めています。

球がペナルティーエリアに止まったことが分かっているか事実上確実である場合にだけ、プレーヤーは規則17.1d に基づく救済を受けることができる。(The R&A/日本語版ゴルフ規則 規則17.1c、2023年1月施行版)

判断の目安は次のとおりです。

  • 確実と言えるケース:水しぶきを見た/同伴者2人以上が入水を目視した/池の手前も奥も刈り込まれていて他に行きようがない
  • グレーなケース:着弾音だけ聞こえた/打球方向はそちらだが誰も落下を見ていない/池の周りにラフや林がある

グレーなら救済は受けられません。3分間探して見つからなければ紛失球として、ストロークと距離(前打地点に戻って1罰打)のみが選択肢です。

さらに規則18.3a により、ペナルティーエリアで紛失した可能性だけを理由に暫定球は打てません。暫定球が打てるのは、OBやペナルティーエリア以外での紛失の可能性がある場合です。「池かもしれないから暫定球」は誤りなので、その場合は最初から打ち直し(3打目)として打つのが正しい進め方になります。

2. 縁を「最後に横切った」地点を特定する

基点は着水地点ではなく、球がペナルティーエリアの縁を最後に横切った地点です。

スライスして池の対岸に落ちたケースなどでは、着水地点と横切った地点が大きくずれます。曖昧なままドロップすると、それだけで誤所になり得ます。打った直後に「どこを越えたか」を目印(木・杭・スプリンクラー)で覚えておくのがコツです。

3. スコアカード裏とハウスルールを見る

ローカルルールの有無で選択肢が変わるため、スタート前に必ず目を通しておきます。

確認すべきは「ドロップゾーンの有無」「前進4打(特設ティー)の対象範囲」「対岸の救済の採用有無」の3点です。詳しくは後述します。

まとめ

入水が確実か → 縁を最後に横切った地点はどこか → ローカルルールはあるか。この順に確認してから、はじめてクラブを持って池に向かいます。

池ポチャのルール別・処置の手順を詳しく解説

処置は「そのまま打つ(無罰)」「ストロークと距離」「後方線上」「ラテラル」の4択で、後方線上だけは球を線の真上に落とす必要があります。

まずは4択を一覧で比較します。

①そのまま打つ(17.1b)②ストロークと距離(17.1d(1)+14.6)③後方線上(17.1d(2))④ラテラル2クラブ(17.1d(3))
使える杭の色黄・赤とも可黄・赤とも可黄・赤とも可赤のみ
罰打0罰打1罰打1罰打1罰打
基点—(球の位置)直前のストロークの箇所ホールと基点を結ぶ後方線上で、球が線に最初に触れた地点球が縁を最後に横切った地点
球を落としてよい地点救済エリア内必ず線の真上(横にずらすのは不可)救済エリア内
球が止まってよい範囲基点から1クラブレングス・同じコースエリア・ホールに近づかない球が線に最初に触れた地点からどの方向にも1クラブレングス・その地点よりホールに近づかない基点から2クラブレングス・ホールに近づかない
移動距離の目安0前打地点まで戻る後方に任意(下がるほど残り距離は伸びる)横に最大約2.3m
所要時間の目安即時カートで戻るぶん長い30秒〜1分30秒
残り距離への影響変わらない打った距離ぶん増える下がったヤード数だけ増えるほぼ変わらない
やりがちな誤り→罰打てないライで無理をして脱出失敗グリーンからの打ち直しでドロップ→誤所2罰打線から横にドロップ→誤所2罰打パターや短いクラブで計測→範囲外なら誤所2罰打
横スクロールできます

手順1:そのまま打てるか判定する(0罰打)

球が見えていて足場があるなら、無罰でそのまま打つのが最も得な場合があります。

2019年以降、ペナルティーエリア内でもクラブをソールでき、ルースインペディメント(枯れ葉・小石など)も無罰で取り除けます(規則17.1b)。以前は「地面に触れたら2罰打」でしたが、現在は制限がほぼありません。

打つかどうかの判断軸は次の3つです。

  1. ライ:球の半分以上が水面上に出ているか。水中に沈んでいるならまず打てません
  2. 足場:スタンスが取れるか。滑って転倒するリスクがあるなら中止
  3. 残り距離との釣り合い:1罰打を払って良いライから打つほうが、悪いライから2打かけるより期待打数は少ないことが多い

無理をして脱出できなければ、罰打なしのはずが打数だけ増えます。「1回で確実に出せるか」を基準にしてください。

手順2:ストロークと距離(打ち直し)は打った場所で作法が変わる

「元の位置から打ち直す」の実務は、規則14.6により直前のストロークをどこから打ったかで3通りに分かれます。

  1. 直前がティーイングエリア → そのホールのティーイングエリア内なら、どこからでもティーアップして打てます。元のティーマークの位置に厳密に戻す必要はありません
  2. 直前がパッティンググリーン → ドロップではなく、元の箇所にプレース(リプレース)します。グリーンからの池ポチャでドロップすると誤所です
  3. 直前がジェネラルエリア/バンカー/ペナルティーエリア → 直前の箇所を基点に、1クラブレングス以内・同じコースエリア・ホールに近づかない救済エリアにドロップします(バンカーから打った球ならバンカー内にドロップ)

元の箇所が分からない場合は、その地点を推定して基点とします。

手順3:後方線上の救済のやり方(最重要)

後方線上の救済は、ホールと「球が縁を最後に横切った地点」を結んだ線を、後方に真っすぐ延長した線上に球をドロップします。

手順は次のとおりです。

  1. 球が縁を最後に横切った地点を特定する
  2. その地点とホールを結ぶ直線を、後方(ホールから遠ざかる方向)へ延長する
  3. 打ちやすい距離まで下がる(下がれる距離に制限はありません)
  4. その線の真上で、膝の高さから球をドロップする
  5. 球が最初に地面に触れた地点から、どの方向にも1クラブレングス以内、かつその地点よりホールに近づかない範囲に止まればOK

2023年1月の改訂で、球が止まってよい範囲は「線から左右どちらにも1クラブレングス」に広がりました。ここだけを紹介する解説が多いのですが、広がったのは「止まってよい範囲」であって「落としてよい地点」ではありません

後方線上の救済を受けているときに、プレーヤーは後方線上から1クラブレングスほど横に球をドロップした。その球は、どこに止まったかにかかわらず、たとえ後方線上に止まったとしても誤所にある。規則14.7a に基づく罰を避けるためには、球を再ドロップしなければならない。(日本ゴルフ協会『2023年ゴルフ規則の追加の詳説』14.3b(4)/1、2023年4月追加)

つまり「線から1クラブ横に落として、線上に転がったからセーフ」は通りません。ドロップの瞬間に線を外していれば、その時点で誤所が確定します。訂正せずに打てばストロークプレーで2罰打、重大な違反を訂正しなければ失格の可能性もあります。

線を外さないコツは、ホールと基点を結ぶ線の延長上に自分のつま先を置き、体の正面(真下)に落とすことです。横に構えて腕を伸ばして落とすと、それだけで数十センチずれます。

手順4:ラテラル救済(赤杭のみ・2クラブレングス)

赤杭なら、球が縁を最後に横切った地点を基点に、2クラブレングス以内・ホールに近づかない範囲にドロップできます。

  1. 縁を最後に横切った地点にティーやマーカーを刺す
  2. パターを除く最も長いクラブ(通常はドライバー)で2つ分を測る
  3. ホールに近づかない側に救済エリアを取る
  4. 膝の高さからドロップし、救済エリア内に止まればプレー

横方向の救済なので残り距離がほぼ変わらず、実戦では最も使われる選択肢です。

手順5:ドロップのやり方と再ドロップ

ドロップは膝の高さから、球が体や用具に触れないように落とします(規則14.3b)。

2019年より前は「肩の高さ」でしたが現在は膝の高さです。救済エリアに止まらなければ再ドロップし、2回目でも止まらない場合は、2回目のドロップで球が最初に地面に触れた箇所にプレースします(規則14.3c)。再ドロップに罰はありません。

注意

「膝の高さ」は、まっすぐ立ったときの膝の高さです。しゃがんで低く落とす、肩から落とすはいずれも間違ったドロップで、訂正せずに打つと2罰打になります。

つまずきやすいポイントと対処法

池ポチャで多い失敗は「基点の取り違え」「クラブレングスの測り方」「打数の数え間違い」の3つで、いずれもドロップ前の10秒で防げます

ドロップ前の10秒セルフチェック5項目

ドロップの直前に、次の5つを声に出して確認してください。

  1. 基点は「縁を最後に横切った地点」か?(着水地点ではありません)→ 誤り=誤所で2罰打
  2. 杭の色を実際に目で見たか?(線がある場合は線が縁)→ 黄杭で2クラブ使えば誤所で2罰打
  3. 後方線上なら「線の真上」に落とすか?→ 横にずらすと誤所で2罰打(詳説14.3b(4)/1)
  4. パターではなく最も長いクラブで測ったか?→ 範囲を超えていれば誤所で2罰打
  5. 膝の高さから、体や用具に触れさせずに落とすか?→ 間違ったドロップは、打つ前なら再ドロップで無罰

同伴者への宣言テンプレも用意しておくと安心です。

「赤杭なので、この地点から2クラブでドロップします。3打目です。」

宣言しておけば、誤りがあればその場で指摘してもらえます。訂正は打つ前なら無罰で済みます。

打数の数え方を間違えない

打数は「打った回数+罰打」で数えます。ティーショットが池なら、1打+1罰打で次は3打目です。

よくあるパターンを整理します。

状況打数の内訳次は何打目
ティーショットが池→ラテラル救済1打+1罰打3打目
ティーショットが池→ティーから打ち直し1打+1罰打3打目
2打目が池→後方線上2打+1罰打4打目
ティーショットが池、救済後の3打目もまた同じ池1打+1罰打+1打+1罰打5打目
入水が確実でなく紛失球→前打地点に戻る1打+1罰打3打目
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救済した球がまた池に入ったら

救済して打った球が再び同じ池に入った場合は、規則17.2 に従って改めて処置します。

新たに1罰打を払って救済を受け直すのが基本で、この時点で合計2罰打です。なお、最初の救済を受けた地点を基点に処置を選び直すこともできます。同じ池を2回越えられない状況なら、刻んで池の手前に置く判断のほうがスコアはまとまります。

ポイント

池を2回続けて入れた時点で、そのホールはダブルボギー以上が確定しています。3回目のチャレンジより、確実に前に進める番手を選んでください。

効率化・応用のコツ|クラブレングス実寸とスコア計算

救済を速く正確に行うコツは、自分のドライバー基準の実寸を数字で覚えておくことです。1クラブレングスは、パターを除く最も長いクラブの長さで測ります(JGA 2019年規則改訂リーフレット)。

自分のドライバー長→救済エリアの実寸換算表

1インチ=2.54cmで換算した実寸は次のとおりです。

ドライバー長1クラブレングス2クラブレングス歩幅75cm換算の目安
43インチ109.2cm218.4cm約3歩
44インチ111.8cm223.5cm約3歩
45インチ114.3cm228.6cm約3歩
45.5インチ115.6cm231.1cm約3歩
46インチ116.8cm233.7cm約3歩
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実測すると、2クラブレングスはおよそ2.2〜2.3m=成人男性の3歩です。毎回クラブを地面に置いて測るより、歩数で当たりを付けてから、境界が微妙なときだけクラブで確認するほうが速く進行できます。

注意

歩幅換算はあくまで目安です。ホールに近づかない側の境界ぎりぎりにドロップする場合は、必ずクラブで実測してください。目分量で範囲を超えると誤所で2罰打です。

どの選択肢が得か、残り距離で判断する

パー4・380ヤードのホールで、ティーショットが210ヤード地点の赤杭の池に入ったケースで比較します。

選択肢罰打3打目の残り距離想定される番手
ティーから打ち直し1罰打380ヤードドライバー(実質やり直し)
ラテラル救済(2クラブ横)1罰打約170ヤードミドルアイアン
後方線上に20ヤード下がる1罰打約190ヤードロングアイアン/UT
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数字にすると差は明確です。打ち直しは3打目で210ヤード分を失いますが、ラテラル救済なら残り170ヤードから2オンも狙えます。赤杭でラテラルが使えるなら、原則としてラテラル一択です。

後方線上で下がる場合は、20ヤード下がるだけで残りが約1番手増えることを覚えておいてください。ライの良さと引き換えに番手が上がるので、「打ちやすい場所まで下がる」のは30ヤード程度が実用的な上限です。

同じケースが黄杭だったら

同じ池が黄杭なら、ラテラル救済は使えません。

選択肢は「残り380ヤードから打ち直し」か「後方線上に下がる」の2択になります。この場合は後方線上が有利で、20〜30ヤード下がって残り190〜200ヤードから打つほうが、ティーからやり直すより1打分近い計算です。黄杭では後方線上を選べる場所があるかを先に見ておくと、判断が速くなります。

注意点・リスク|日本のゴルフ場特有のローカルルール

日本のゴルフ場でよく見る「前進4打」は、ペナルティーエリアには使えません。OBと紛失球のための制度だからです。

前進4打(特設ティー・プレーイング4)は池には使えない

前進4打の根拠は、JGA『ゴルフ規則のオフィシャルガイド』(2023年1月施行)に収録されたローカルルールひな型E-5(ストロークと距離の代替)です。

このひな型が対象とするのはOBと紛失球で、ペナルティーエリアの球は対象外です。池に入れたのに特設ティーから「4打目」としてプレーすると、正しい処置を取っていないことになります。

ただし委員会は独自のローカルルールを定められるため、ゴルフ場によっては池にも特設ティーを認めている場合があります。スコアカード裏の記載が最終的な根拠なので、必ず確認してください。

対岸の救済はローカルルールがある場合のみ

2019年より前にあった「対岸の救済(オポジットサイドリリーフ)」は、本規則から削除されました。

現在は、委員会がローカルルールひな型B-2.1を採用しているホールでのみ使えます。採用されていれば、赤杭の池の対岸で、最後に横切った地点と等距離の対岸地点を基点に2クラブレングスの救済を受けられます。掲示がなければ使えません。

ドロップゾーンがある場合

ドロップゾーン(ローカルルールひな型E-1)が設置されているホールでは、規則17.1dの選択肢に加えてドロップゾーンを使えます。

通常は1罰打で、ドロップゾーン内(またはゾーンの範囲内)に膝の高さからドロップします。ドロップゾーンは「必ず使わなければならない」ものではなく、あくまで追加の選択肢です。

注意

ローカルルールは競技かプライベートかを問わず、そのコースでプレーする全員に適用されます。「知らなかった」は通用しません。スタート前の1分でスコアカード裏を読む習慣をつけてください。

規則17以外の救済は使えない

ペナルティーエリア内の球には、アンプレヤブルも異常なコース状態の救済も適用されません(規則17.3)。

「池の中の球がカート道の上に乗っている」「修理地の杭が近い」といった状況でも、無罰の救済は受けられません。ペナルティーエリア内の球に使えるのは、規則17に基づく罰ありの救済だけです。ここを勘違いして無罰でドロップすると、当然ながら誤所になります。

規則の「詳説」は毎年更新されている

規則本体は2023年1月施行版のままですが、その解釈を補う「追加の詳説」は更新が続いています。

JGAは『2023年ゴルフ規則の追加の詳説』の2026年1月1日更新版(Ver.2)を公開し、ローカルルールひな型A-4(インターナルアウトオブバウンズ)、E-14、F-2、F-5、G-6(動力付き移動機器の使用禁止)、G-9の詳説を新規追加しました。G-9は2026年1月1日から過去の書籍版・デジタル版と置き換えられています。追加の詳説は1月・4月・7月・10月の四半期ごとに更新される運用で、同PDF時点では次回更新は2026年4月上旬と案内されています。

ポイント

「2019年の大改訂で覚えたまま」だと現在の規則とずれている可能性があります。競技に出る方は、年に一度JGAの最新PDFを確認しておくと安心です。

具体例・ケーススタディ|3つの場面で処置を確認

ここでは、実際に起こりやすい3つの場面で処置を追ってみます。いずれも「基点」と「落とす地点」がポイントです。

ケース1:ティーショットが赤杭の池へ(水しぶきを目撃)

パー4・380ヤード、210ヤード地点の左サイドを縦に走る赤杭の池。ドローが大きくかかり、同伴者2人が入水を目撃しました。

  1. 入水は「事実上確実」なので、規則17.1dの救済を選べます
  2. 球が池の縁を最後に横切った地点にティーを刺します
  3. 赤杭なのでラテラル救済を選択。ドライバー(45インチ=114.3cm)2本分=約228cmを、ホールに近づかない側に測ります
  4. 「赤杭なので、この地点から2クラブでドロップします。3打目です」と宣言
  5. 膝の高さからドロップ。救済エリア内に止まったのでプレー

結果:1打+1罰打=次は3打目、残り約170ヤード。

ケース2:グリーン手前の黄杭の池に、グリーン上から打った球が入った

下り傾斜の速いグリーンで、パッティングした球が転がり続けてグリーン手前の黄杭の池へ。3打目でオンし、4打目のパットが池に入ったケースです。

選択肢は次の2つです。

  • ストロークと距離:直前のストロークがパッティンググリーンからなので、ドロップではなく元の箇所にプレース(規則14.6c)。1罰打で、次は6打目
  • 後方線上の救済:球が縁を最後に横切った地点とホールを結ぶ後方線上にドロップ。1罰打で、次は6打目

ここで多い誤りが、グリーン上の元の位置に「ドロップ」してしまうことです。プレースすべき場面でドロップすれば誤所となり、訂正せずに打つと2罰打が加わります。「グリーンから打った球の打ち直しは置く」と覚えてください。

ケース3:池の方向に飛んだが、誰も入水を見ていない

右ドッグレッグの2打目。池の方向に飛びましたが、池の周りにはラフと林もあり、誰も落下を見ていません。

  1. まず暫定球は打てません。ペナルティーエリアで紛失した可能性だけでは暫定球の要件を満たさないからです(規則18.3a)。ただしラフや林での紛失、OBの可能性もあるなら暫定球を打てます
  2. 3分間捜索します(規則18.2a(1))
  3. 見つからず、入水が「事実上確実」とは言えないので、規則17の救済は使えません
  4. 紛失球として、ストロークと距離のみ。直前のストロークの箇所を基点に1クラブレングスの救済エリアへドロップし、1罰打

結果:2打+1罰打=次は4打目、しかも前打地点から。

このケースが最も損が大きく、しかも防げます。池の方向に打ったら、必ず落下点を最後まで目で追い、同伴者にも見てもらうこと。加えて、林やラフでの紛失可能性があるなら暫定球を打っておけば、戻る手間を省けます。

まとめ

ケース1は基点、ケース2はプレースかドロップか、ケース3は入水の確実性。池ポチャの失敗はこの3種類にほぼ集約されます。

池に落ちたボールはその後どうなる?

池に沈んだボールは専門のボールダイバーが回収し、ロストボールとして再流通しています。

スタジオパーソルが2022年11月4日に公開したゴルフボールダイバー・木村洋志氏への取材記事によると、空気ボンベ1本(2〜3時間)で1日あたり約1万球を回収し、最高記録は2時間で約2万4千球とのことです。ゴルフ場の池の水深は約1〜10メートルと幅があり、回収球の買取価格は多くが70〜80円、ブランド品では500円程度、商品化できるのは約6割とされています。

補足

自分の球を池から拾い上げること自体に罰はありません。ただし、規則17.1dの救済を受けた場合、球を拾えても「元の球でプレーを続ける」ことはできません。救済は救済として、正しい手順でドロップしてください。

まとめ|池ポチャは1罰打で終わらせる

池ポチャの処置で覚えることは、突き詰めれば次の5点です。

  1. 救済を受けられるのは、入水が「分かっている、または事実上確実」なときだけ。そうでなければ紛失球で前打地点に戻る
  2. 基点は着水地点ではなく、球が縁を最後に横切った地点
  3. 黄杭は2択(打ち直し・後方線上)、赤杭は3択(+ラテラル2クラブ)
  4. 後方線上は必ず線の真上にドロップ。横にずらすと誤所で2罰打(JGA追加の詳説14.3b(4)/1)
  5. グリーンから打った球の打ち直しは、ドロップではなくプレース

次のラウンドでは、スタート前にスコアカード裏のローカルルール(前進4打の対象・ドロップゾーン・対岸の救済)を1分だけ確認してみてください。それだけで、池ポチャの処置は「1罰打で確実に終わる作業」に変わります。

よくある質問

池ポチャの打数の数え方は?ティーショットが入ったら何打目?

ティーショットが池に入って救済を受けた場合、次は3打目です。打った1打に1罰打を加えて2打分を消化した計算になります。2打目が入れば次は4打目です。救済後の球がまた同じ池に入った場合は、さらに1打+1罰打が加わり、ティーショットからなら次は5打目になります。

黄杭と赤杭の違いは?赤杭のほうが得ですか?

違いは救済の選択肢の数で、赤杭のほうが有利です。黄杭(イエローペナルティーエリア)はストロークと距離・後方線上の救済の2択、赤杭(レッドペナルティーエリア)はこれにラテラル救済(基点から2クラブレングス以内)が加わった3択です。罰打はどちらも1打で同じですが、赤杭は横方向に出せるぶん残り距離をほとんど失いません。

後方線上の救済のやり方は?どこにドロップすればいいですか?

ホールと「球が縁を最後に横切った地点」を結ぶ線を後方に延長し、その線の真上に膝の高さからドロップします。下がる距離に制限はありません。球が最初に地面に触れた地点から、どの方向にも1クラブレングス以内かつその地点よりホールに近づかない範囲に止まればプレーできます。JGA『2023年ゴルフ規則の追加の詳説』14.3b(4)/1によると、線から横にずらしてドロップした球は、たとえ線上に止まっても誤所となり、再ドロップが必要です。

ペナルティーエリアの救済で使う2クラブレングスは何センチですか?

1クラブレングスはパターを除く、そのプレーヤーが持っている最も長いクラブの長さです(JGA 2019年規則改訂リーフレット)。45インチのドライバーなら1クラブレングス=114.3cm、2クラブレングス=228.6cmになります。43インチなら2クラブで218.4cm、46インチなら233.7cmです。成人男性の歩幅75cm換算でおよそ3歩が目安ですが、境界ぎりぎりの場合は必ずクラブで実測してください。

池に入ったか分からないとき、暫定球を打ってもいいですか?

ペナルティーエリアで紛失した可能性だけでは暫定球は打てません(規則18.3a)。暫定球が認められるのは、OBの可能性がある場合や、ペナルティーエリア以外(ラフ・林など)で紛失した可能性がある場合です。池の方向に飛んだが入水を誰も見ていない、というケースでは3分間捜索し、見つからなければ紛失球としてストロークと距離(前打地点に戻って1罰打)を選ぶことになります。

池の中の球をそのまま打ってもいいですか?

打てます。罰打もありません。2019年の規則改訂以降、ペナルティーエリア内でもクラブをソールでき、枯れ葉や小石などのルースインペディメントも無罰で取り除けます(規則17.1b)。ただし判断は慎重に。球の半分以上が水面から出ているか、安全にスタンスが取れるか、1回で確実に脱出できるかを確認し、少しでも不安があれば1罰打を払って救済を受けるほうがスコアはまとまります。

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