ラフからの打ち方でまず決めるべきは、スイングではなく「球がどれだけ沈んでいるか」です。球の上半分以上が見えるなら攻める、1/3〜半分なら距離を捨てる、上からのぞき込まないと見えないなら脱出だけを考える。この3段階を決めてから、ボール位置とクラブを選びます。
打ち方の基本(右足寄り・ハンドファースト・強めのグリップ)は、どのライでも共通です。スコアを壊すのは打ち方の巧拙ではなく、沈んだ球に無理な距離を要求したことと、ラフで起きやすい規則違反です。
この記事では、日本のコースに多い高麗芝・野芝を前提に、3秒でできる判定基準、沈み度×季節×クラブの早見表、そして「打つか、1罰打で捨てるか」の期待打数計算までまとめます。
ラフは例外ではなく標準状態です。e!Golfの解説によると、100切りを目指す層のフェアウェイキープ率の目安は約30%。ティショットの約7割はフェアウェイ以外から打っている計算になります。ラフの判断力は、そのままスコアに直結します。
結論:ラフからの打ち方は「沈み度→距離→芝目」の順で決める
ラフで最初にすべきことは素振りではなく、球の沈み具合を3段階で判定することです。沈み度が決まれば、狙える距離もクラブもフェースの向きも自動的に決まります。
判定は次の3段階だけで十分です。
- Aライ:球の上半分以上が見える(芝に浮いている状態)
- Bライ:球の1/3〜半分だけ見える(半分沈んでいる)
- Cライ:真上からのぞき込まないと見えない(ほぼ埋没)
そのうえで、共通の打ち方は次のとおりです。ここは上位の解説記事と同じで、短く済ませます。
- ボールは中央〜右足寄りに置き、ハンドファーストで上から入れる
- すくい上げない(ロフトに任せる)
- グリップは普段より強め、フィニッシュまで減速せず振り抜く
- 打つ前に球の近く(球に触れない場所)で素振りし、芝の抵抗を確かめる
素振りのときに球のすぐ後ろの芝を倒すと、ライの改善とみなされる可能性があります。素振りは球から少し離れた同じような芝で行ってください。
沈み度の判定は「しゃがまずに真上から見る」
判定は立ったまま、球の真上に目線を持っていくだけで足ります。
真上から見て白い部分が半分以上あればAライ、輪郭が芝に隠れ始めていればBライ、上から探さないと白が見えなければCライです。横から見ると浮いて見えることが多く、横からの見た目は当てにしないのがコツです。
判定のあとに残り距離と芝目を見る
沈み度を決めてから、残り距離と芝の向きを確認します。
芝目は葉先が向いている方向で判断します。打ち出す方向に葉先が向いていれば順目でヘッドが抜けやすく、こちらを向いていれば逆目で抵抗が一気に増えます。逆目は同じ沈み度でも一段階深いライとして扱うのが安全です。
ラフでは「沈み度A/B/C → 残り距離 → 順目・逆目」の順に見る。打ち方の細部を考えるのはその後です。
なぜラフで大叩きするのか?主な原因を深掘り

ラフでの大叩きの主因はスイングの失敗ではなく、ライに合わない距離を要求する判断ミスです。届かない番手で無理をした結果、2打・3打とラフに残ることが実際の損失になります。
原因を分解すると、次の4つに整理できます。
原因1:芝の抵抗量を過小評価している
抵抗はクラブが芝を切る量で決まり、刈高が数倍違えば別物になります。
アコーディア・ゴルフの解説(2025年1月)によると、一般営業コースの日常管理ではグリーンの刈高は3.8mm以下、フェアウェイは12mm程度に保たれています。一方、みんなのゴルフダイジェスト(2024年10月)が伝えた2024年日本オープン(東京ゴルフ倶楽部)のラフは、目標刈高100〜150mmに対して長雨で生育が想定を超え、キャディ証言で「長靴が少し見えるくらい」=約20cmに達しました。
フェアウェイ10ミリ、ファーストカット25ミリ、ラフ100〜150ミリ — e!Golf(2025年)が伝える日本オープンのコースセッティング水準
つまりフェアウェイ12mmとラフ100mmでは、ヘッドが受ける抵抗は桁が違います。「いつもの7番」が通用しないのは当然なのです。
原因2:フライヤーを計算に入れていない
浅いラフでは芝が挟まってスピンが減り、飛びすぎます。
ALBA Netの解説によると、フライヤー時の飛距離増加はキャリーで約10〜20ヤード。浅いラフでは2割増(約25ヤード)とする解説もあります。ピンをオーバーしてグリーン奥に外すミスの多くは、この計算漏れが原因です。
原因3:季節と芝種を無視している
日本のコースに多い高麗芝・野芝は暖地型(夏芝)です。
高麗芝の生育解説によると、気温25〜30℃で最も旺盛に生育し、10℃以下では生育が止まります。同じホールの同じ場所でも、8月のラフと1月のラフでは抵抗がまったく違います。「夏のラフの打ち方」を冬にそのまま持ち込むと、逆に打ち込みすぎてダフります。
原因4:ルールを知らずに罰打を重ねている
これが最も見落とされている原因です。詳しくは後述しますが、ラフは球の紛失・ルースインペディメント・アンプレヤブルの判断が集中する場所です。打ち方以前に、手続きのミスで1打・2打を失っているケースが少なくありません。
大叩きの構造は「抵抗の読み違い」+「距離の欲」+「ルールの不知」。技術より先に、この3つを潰すほうが効果が大きいです。
原因別の見分け方|ラフ30秒判定チャート
見分け方の核心は30秒で4つの質問に答えることです。Q1沈み度、Q2残り距離、Q3芝目と傾斜、Q4コースのローカルルール。この順で答えれば、出口は4つに絞られます。
Q1〜Q4のチェック手順
- Q1|球はどれだけ沈んでいるか:A=上半分以上見える/B=1/3〜半分だけ見える/C=上からのぞかないと見えない
- Q2|残り距離はどれくらいか:150ヤード超/100〜150ヤード/100ヤード未満
- Q3|芝の向きと足場はどうか:葉先が目標方向=順目/手前向き=逆目。加えて左足下がり・つま先上がりなどの傾斜
- Q4|このコースはE-5や前進4打を採用しているか:スタート前にマスター室で確認しておく
出口は4つだけ
| 出口 | 該当する条件 | なぜそうするか |
|---|---|---|
| ①グリーンを狙う | Aライ×順目 | 抵抗が最小でフェースが入る。ただしフライヤー想定で1番手下げる |
| ②レイアップ(刻む) | Aライ×逆目/Bライ×残り150ヤード超 | 距離を出そうとするとヘッドが負けて左に巻く確率が上がる |
| ③脱出専念(真横でも可) | Bライ×逆目/Cライ×残り100ヤード未満 | 出す確率をほぼ100%にできる方向を選ぶほうが、期待打数が小さい |
| ④規則19.2cで1罰打の救済 | Cライかつ足場が悪い/Cライで既に1回失敗している | 埋没ライで2回続けて失敗するより、1罰打でライを買い直すほうが安い |
出口④は「打てないほど埋まっている」「スタンスが取れない」ときの選択肢です。ラフに入るたびに使うものではありません。アンプレヤブルの宣言はプレーヤー自身が判断できますが、必ず1罰打が付きます。
迷ったときの優先順位
迷ったら「一段階安全な出口」を選ぶのが正解です。
ラフの読み違いは、ほぼ常に「思ったより深い」方向に外れます。特に雨のあとは芝が水分を含み、刈高が同じでも抵抗が増します。2024年日本オープンのラフが想定を超えたのも、刈高設定ではなく直前の天候による生育が原因でした(みんなのゴルフダイジェスト 2024年10月10日)。
判定は「沈み度→距離→芝目→ローカルルール」。出口は①狙う②刻む③出す④捨てるの4つ。迷ったら一段安全側へ。
具体的な解決方法|沈み度×芝種・季節×クラブ早見表
解決策の中心は沈み度に応じてクラブとフェース向き、飛距離補正を機械的に切り替えることです。以下の早見表をそのまま現場の基準にしてください。
沈み度別クラブ・フェース・ボール位置の早見表
| 項目 | Aライ(上半分見える) | Bライ(1/3〜半分) | Cライ(ほぼ埋没) |
|---|---|---|---|
| 推奨クラブ|高麗・野芝の夏(25〜30℃で抵抗最大) | 7〜9番、UT可 | 8番〜PW | PW〜SW |
| 推奨クラブ|高麗・野芝の冬(休眠期・抵抗小) | 5〜7番、FWも可 | 7〜9番 | 9番〜PW |
| 推奨クラブ|洋芝ラフ(水分を含み抵抗大) | 8番〜PW | 9番〜PW | SW |
| フェースの向き | スクエア〜やや被せる | 被せる(ロフトを立てる) | 開く(刃を潜らせて抜く) |
| ボール位置 | 中央 | 右足寄り1個分 | 右足内側 |
| 飛距離補正 | フライヤーで+10〜20ヤード想定→1番手下げる | 通常より-10〜20% | 距離は計算せず前進量のみ想定 |
| 現実的な狙い所 | グリーンセンター | グリーン手前の花道/レイアップ地点 | フェアウェイの最短復帰点(真横可) |
脚注(自分のコースを相対評価するための基準値):日本オープンのラフ刈高目標は100〜150mm、2024年は実測約20cm(みんなのゴルフダイジェスト 2024年10月)。一般営業コースのラフはここまで深くありません。フェアウェイ12mm、グリーン3.8mm以下(アコーディア・ゴルフ 2025年1月)と比べて、自分のコースのラフが「靴の甲が隠れるか」で相対判断してください。
Cライでフェースを開く理由
Cライだけはフェースを開きます。理由は刃を芝に潜らせて、ネックに芝が絡むのを防ぐためです。
被せて突っ込むとヒール側に芝が巻き付き、フェースが返って左に飛び出します。開いたフェースでバンカーショットのように振り抜くほうが、脱出成功率が上がります。振り幅は大きく、スピードは緩めないのが鉄則です。
「ゴルフ ラフでの打ち方」を1本のクラブに絞る考え方
クラブ選びに迷うなら、迷った時点でCライ扱いにしてPWかSWを持つのが実務的です。
Aライで7番を選んで失敗した場合の損失(グリーン奥のOB、または隣のラフ)は大きく、Bライ扱いでPWを持って残り30ヤードを残した場合の損失は小さい。ミスの非対称性を考えれば、安全側に寄せた選択のほうが期待打数は下がります。
早見表の使い方は「沈み度で行を選ぶ→季節と芝種で列を選ぶ→飛距離補正を必ず適用する」。補正を忘れると、正しいクラブでも結果が狂います。
ケース別の対処|深いラフ・夏のラフ・傾斜の複合ライ
ケース別の要点は条件が重なるほど、狙いを一段ずつ下げることです。深さ・季節・傾斜のうち2つ以上が悪条件なら、距離の期待は捨てます。
ゴルフの深いラフでの打ち方は「出す」だけを考える
深いラフ(Cライ)は、クラブ選択より方向の選択が結果を決めます。
手順は次のとおりです。
- 球の真上から沈み度を確認し、Cライだと確定させる
- ピン方向ではなく「最も芝が薄い方向」を探す(真横・斜め後ろでも可)
- PWまたはSWを選び、フェースを開いて右足内側にセット
- グリップを短く持ち、下半身を止めて上下動を抑える
- コックを早めに使って鋭角に入れ、フィニッシュまで緩めず振り抜く
距離が出ないことは失敗ではありません。ALBA Netの取材(2025年)によると、日本オープン級のラフでは野芝・高麗芝にティフトン芝が混在し、ティフトンの箇所は球がすっぽり埋まるため、同じホールでも数メートル違うだけで難度が別物になると選手が証言しています。プロでも「同じホール内で難度が変わる」のがラフです。
ゴルフの夏のラフの打ち方は抵抗MAX前提で組み立てる
夏の高麗芝・野芝は、年間で最も抵抗が大きい状態です。
高麗芝の生育解説によると、気温25〜30℃が生育の適温。7〜9月のラフは葉が立ち、密度も高くなります。この時期は次の調整をします。
- 早見表の「夏」の行を使い、通常より1〜2番手短いクラブを選ぶ
- Aライでもフライヤーを強めに見積もる(+10〜20ヤード)
- 朝露や夕立のあとは、水分でさらに抵抗が増すため一段階深いライとして扱う
逆に12〜2月の休眠期は葉が枯れて寝ているため、同じ見た目でもヘッドが抜けやすくなります。冬に夏と同じ強さで打つとダフりや飛びすぎにつながります。
傾斜と沈み度が重なったとき
傾斜が絡む場合は、沈み度を一段階悪いほうに読み替えます。
| 傾斜 | 起きやすいミス | 対処 |
|---|---|---|
| つま先上がり | 左に引っかかる | 短く持ち、目標を右に取る |
| つま先下がり | ダフり・右へのすっぽ抜け | 膝を深く曲げ、距離を1番手落とす |
| 左足上がり | 高く上がって飛ばない | 1〜2番手上げるが、Cライなら脱出優先 |
| 左足下がり | トップ・チョロ | ボールを右に置き、上げようとしない |
左足下がり×Cライは、アマチュアにとって最も成功率が低い組み合わせです。この条件が揃ったら、規則19.2の救済(1罰打)を真剣に検討してください。無理に2回失敗すると、罰打1つより確実に高くつきます。
深い=出すことに集中/夏=抵抗MAXで番手短め/傾斜=沈み度を一段悪く読む。悪条件が重なったら距離を捨てる。
打つか捨てるか?期待打数で損得を計算する
結論として、脱出成功率が15%を下回るライでは、1罰打で救済を受けたほうが期待打数は少なくなります。感覚ではなく計算で判断できる領域です。
前提条件
残り150ヤード、Cライ(ほぼ埋没)、パー4の2打目という状況で比較します。以下の数値は説明のための仮定です。ご自身のラウンド実績に置き換えて使ってください。
3つの選択肢の期待打数
選択1:そのまま打つ
- 成功(確率p1=0.3):60ヤード前進してフェアウェイ → そこからの平均ホールアウト2.8打
- 失敗(確率0.7):20ヤード前進してラフのまま → そこからの平均3.6打
- 期待総打数 = 2 + [0.3×2.8 + 0.7×3.6] = 2 + 3.36 = 5.36打
選択2:規則19.2cで1罰打・2クラブレングス以内にドロップしてライを改善
- 残り148ヤード、Bライ相当 → そこからの平均3.0打
- 期待総打数 = 2 + 1(罰打)+ 3.0 = 6.00打
選択3:脱出専念で真横のフェアウェイへ出す
- 成功率ほぼ100%で残り150ヤード・良ライ → そこからの平均2.8打
- 期待総打数 = 2 + 1(1打使う)+ 2.8 = 5.80打
損益分岐点を解く
この前提では、選択1(打つ)が5.36打で最も少なく、成功率30%あるなら打つべきという結論になります。では、どこまで成功率が下がると逆転するのでしょうか。
選択1の期待打数は「2 + 2.8p + 3.6(1−p)」=「5.6 − 0.8p」です。
- 選択3(5.80打)を上回るのは、5.6 − 0.8p > 5.80 → p < −0.25 = 通常は起こらない
- 選択2(6.00打)を上回るのは、5.6 − 0.8p > 6.00 → p < −0.5 = 起こらない
つまりこの仮定のままなら、打つのが常に有利です。逆転するのは失敗時のペナルティが大きいとき、すなわち「失敗したらまったく出ない(前進0ヤード・同じCライのまま)」ケースです。
失敗時にそこからの平均が4.5打(=もう一度Cライに挑む)とすると、選択1は「2 + 2.8p + 4.5(1−p)」=「6.5 − 1.7p」。これが選択3の5.80打を上回るのは、6.5 − 1.7p > 5.80 → p < 0.41。
失敗しても20ヤードは進む見込みがあるなら打つ。まったく出ない可能性が高いライなら、脱出専念か1罰打の救済が有利。分岐点は「失敗時にどれだけ前進できるか」であって、成功率だけではありません。
自分の数字で計算するワークシート
次の空欄を、直近5ラウンドの実感で埋めてみてください。
| 項目 | あなたの数字 |
|---|---|
| Cライからの脱出成功率 p | ____ % |
| 成功時の残り距離とそこからの平均打数 | ____ヤード/____打 |
| 失敗時の残り距離とそこからの平均打数 | ____ヤード/____打 |
| 打つ場合の期待打数 = 2 + p×成功時 + (1−p)×失敗時 | ____打 |
| 出すだけの場合の期待打数 = 2 + 1 + 良ライからの平均 | ____打 |
ここで使った「フェアウェイ150ヤードから2.8打」などの数値は、読者が自分の実績で置き換えるための仮定値です。実際の平均打数は腕前によって変わるため、スコアカードから自分の値を作るほうが精度が上がります。
専門家・公的情報の見解|ラフで効くゴルフ規則
公的ルールの要点はラフで最も損をするのは打ち方ではなく手続きだということです。JGA 日本ゴルフ協会『ゴルフ規則』(2023年1月施行)から、ラフで頻出する3条文を押さえます。
ルースインペディメントを動かすと1罰打になる場面(規則15.1b)
JGA『ゴルフ規則』(2023年施行)によると、パッティンググリーンとティイングエリア以外で、ルースインペディメント(葉・小枝など)を取り除こうとして止まっている球を動かした場合は、1罰打を加えて球をリプレースします。グリーン上とティイングエリアでは罰はありません。
つまりラフで「球の周りの落ち葉を払ったら球が動いた」は1罰打です。ライを整えたい気持ちが、そのまま失点になります。
球の捜索時間は3分(規則18.2)
同規則によると、球の捜索時間は3分。3分以内に見つからなければ紛失球となります。
ラフでの紛失は珍しくありません。みんなのゴルフダイジェスト(2024年10月)によると、2024年日本オープンの前週、一般営業後のロストボール捜索で約110個の球が見つかったと報じられています。深いラフでは、プロの大会会場ですらこの数です。
なお、ALBA Netの解説(2023年1月)によると、2023年施行の規則では捜索3分ルールに加え、遠くで見つかった球の確認に要する時間の扱いが整理されました。「探す」と「確認する」の手順を知らないと、不要な紛失球扱いになりかねません。
アンプレヤブルは3つの救済から選ぶ(規則19.2)
JGA『ゴルフ規則』規則19.2(2023年施行)によると、ジェネラルエリアでのアンプレヤブルの救済は次の3択で、いずれも1罰打です。
- ストロークと距離(19.2a):前の打点に戻って打ち直す
- 後方線上(19.2b):ホールと球を結んだ線の後方にドロップ
- ラテラル救済(19.2c):球の箇所から2クラブレングス以内、ホールに近づかない範囲にドロップ
ラフで実務的に使えるのは3番目です。2クラブレングス動かせればライが変わることは多く、埋没ライから抜け出す現実的な手段になります。
アンプレヤブルはプレーヤーが自分で判断できますが、必ず1罰打が付きます。「無罰でライを良くする」手段ではありません。
模範ローカルルールE-5(採用コースのみ)
JGA『ゴルフ規則のオフィシャルガイド』(2023年施行)によると、模範ローカルルールE-5は、紛失球・OBについて直前のストロークの場所に戻らず、球を失った地点付近とフェアウェイ端を基準にした救済エリアに2罰打でドロップできる選択肢です。カジュアルラウンドや仲間内コンペ向けで、委員会が採用している場合のみ使えます。
スタート前にマスター室で「E-5は使えますか」「前進4打はありますか」を確認しておくと、ラフで球を見失ったときの判断が速くなります。
ラフで覚える3条文は「落ち葉を払って球が動いたら1罰打(15.1b)」「捜索は3分(18.2)」「埋没したら2クラブレングス1罰打(19.2c)」。打ち方より先に、これでスコアが守れます。
やってはいけないNG対応
NG行動の共通点はラフの抵抗を軽く見て、フェアウェイと同じ判断をしてしまうことです。以下の6つは、そのまま1〜2打の損失につながります。
NG1:すくい上げようとする
最も多いミスです。上げようとすると入射角が緩くなり、ヘッドが芝に負けてボールの下をくぐります。ロフトは クラブが持っています。上から入れて、あとは任せます。
NG2:Cライで距離を欲張る
ほぼ埋没した球にUTや5番アイアンを持つのは、期待打数を確実に増やす行為です。抵抗でフェースが返り、左に巻いて隣のラフやOBに向かいます。
NG3:フライヤーを無視してピンを狙う
ALBA Netの解説によると、フライヤーはキャリーで約10〜20ヤード増えます。浅いラフからピンをデッドに狙うと、多くの場合グリーンオーバーです。狙うのはグリーンセンターか手前にします。
NG4:インパクトで緩める
芝の抵抗を感じて緩めると、ヘッドがそこで止まります。振り幅を小さくしてでも、スピードは緩めません。
NG5:球の後ろの芝を素振りで倒す
ライの改善とみなされる恐れがあります。素振りは球から離れた場所で行ってください。落ち葉を払う行為も、球を動かせば規則15.1bで1罰打です。
NG6:3分を超えて探し続ける
規則18.2により捜索は3分です。時間の管理をせずに探すと、紛失球の処理が曖昧になり、同伴者との認識もずれます。探す前にスタート地点を決め、時計を見る習慣をつけましょう。
NG対応の裏返しがそのまま正解です。「上から入れる/距離を捨てる/センターを狙う/緩めない/触らない/3分で切る」。
予防・再発防止のコツ|ラフに入る前後の習慣
再発防止の要点はラフに入ってから考えるのではなく、入る前に基準を決めておくことです。判断が速くなり、迷いによるミスが減ります。
ラウンド前にやる3つの準備
- マスター室でローカルルールを確認する:E-5や前進4打の有無を聞く(規則の選択肢が1つ増えます)
- 練習グリーン脇のラフで球を落として沈み度を見る:その日のコースのA/B/Cの基準が体感で分かります
- 前日〜当日の天候を確認する:雨のあとは同じ刈高でも抵抗が増します。2024年日本オープンのラフが想定を超えたのも、直前の長雨が原因でした(みんなのゴルフダイジェスト 2024年10月)
ラウンド中の習慣
- ティショットの落下地点を、必ず目標物(木・バンカー・杭)と紐づけて覚える
- 探す前に「ここから3分」と口に出して同伴者と共有する
- ラフに入ったら、まず真上から沈み度を判定する(クラブを抜くのはその後)
ラウンド後に記録する
スコアカードの余白に、Cライから何回で出せたかだけメモしておきます。5ラウンド分たまれば、前章の期待打数計算に使える自分の成功率が出ます。
将来の飛距離環境も変わります。ALBA Netの報道によると、R&AとUSGAは飛距離を抑えるボール規格を正式発表し、競技レベルは2028年、一般ゴルファーは2030年から施行予定です。ラフに入れたときの残り距離は、今より長くなる方向に進みます。だからこそ「刻む・出す」の判断力の価値は上がります。
予防は「ローカルルールの事前確認」「当日のラフの体感チェック」「落下地点の記憶」。ラフは避けきれないので、入ったあとの処理速度を上げます。
よくある質問
ゴルフのラフ打ち方で、一番大事なことは何ですか?
球の沈み度を判定してから、狙う距離を決めることです。ボール位置を右足寄りにする、ハンドファーストにするといった技術は共通ですが、Cライ(ほぼ埋没)でグリーンを狙えば、正しいスイングでも失敗します。判断が先、技術が後です。
深いラフから出ないときは、どうすればいいですか?
PWかSWでフェースを開き、真横やななめ後方など「最も芝が薄い方向」に出します。それでも足場が悪くスタンスが取れない場合は、規則19.2cのラテラル救済(1罰打・2クラブレングス以内にドロップ)を検討してください。同じライで2回失敗するより、罰打1つのほうが安く済むケースがあります。
夏のラフは冬とどう打ち分けますか?
夏は1〜2番手短いクラブを持ち、冬は通常に近い番手で構いません。高麗芝や野芝は暖地型で、気温25〜30℃で最も旺盛に生育し、10℃以下では生育が止まります。夏は葉が立って抵抗が最大になり、冬の休眠期はヘッドが抜けやすくなります。
フライヤーはどのくらい飛びますか?
キャリーで約10〜20ヤード増えます。ALBA Netの解説によると、浅いラフでは2割増(約25ヤード)とする見方もあります。球の上半分が見えるAライで、芝が挟まりやすい状態のときに起きやすいので、そうしたライでは1番手下げてグリーンセンターを狙うのが安全です。
ラフで球が見つからないとき、何分探せますか?
3分です。JGA『ゴルフ規則』(2023年1月施行)規則18.2により、3分以内に見つからなければ紛失球となります。コースが模範ローカルルールE-5を採用していれば、2罰打で球を失った地点付近の救済エリアからプレーできます。使えるかどうかはスタート前に確認しておきましょう。
---
ラフからの打ち方は、沈み度A/B/Cの判定→距離の決定→芝目の確認という順番さえ守れば、迷いが消えます。次のラウンドでは、球の真上から沈み度を見ることと、マスター室でローカルルールを確認することの2つだけ、まず試してみてください。それだけでラフでの平均打数は変わります。




