グリーン上にボールが落ちてできた凹み(ピッチマーク)は、見つけたらすぐ、遅くとも15分以内にグリーンフォークで直すのが正解です。グリーンフィールゴルフ倶楽部(2020)の公式データによると、15分以内に直した芝は1日で再生しますが、翌日では回復に1ヶ月かかり、放置すれば凹んだまま元に戻りません。
本記事では、グリーンフォークの基本の使い方(4ステップ)に加えて、多くの解説記事が触れていない「いつ直すべきか」の時間軸データ、「どこまで直してよいか」というゴルフ規則の線引き(グリーン上は無罰・カラーは2罰打)、1本刃・2本刃・スライド式の使い分けまでまとめました。読み終えたら、次のラウンドで迷わず直せるようになります。
結論:ピッチマークは「見つけたらすぐ」直す——手順は4つだけ
グリーンフォークの使い方は「外側から刺す→柄を立てる→3〜4ヶ所繰り返す→パターで均す」の4ステップです。
まず全体像です。細かいコツは後述しますが、流れは次の4つだけです。
- ピッチマークの少し外側に、フォークを斜めに刺す
- 柄を垂直に立てるように起こし、周囲の芝を中央へ寄せる
- 同じ動作をピッチマークの周囲3〜4ヶ所で繰り返す(タバタゴルフ公式の解説による)
- 最後にパターのソールで軽く押さえて平らに均す
そしてもう1つの結論が「タイミング」です。ゴルフ場公式の実測データでは、修復が15分遅れるかどうかで、芝の回復期間が1日から1週間に変わります。上手に直すことと同じくらい、「すぐ直すこと」が重要です。
覚えるのは「外から寄せて、上から均す」だけ。中心に刺して芝を持ち上げるのは逆効果です(理由は後述のNG編で解説します)。
ピッチマークを放置するとどうなる?回復期間の実データ

ゴルフ場の公式データでは、15分以内に直せば芝は1日で再生し、1日放置すると回復に1ヶ月かかります。
なぜ数分の差で回復期間が変わるのか
凹みの下では芝の根が傷み、時間とともに枯れが進むからです。ピッチマークは、ボールの落下衝撃で芝が押し潰され、根がダメージを受けた状態です。時間が経つほど潰れた部分が乾燥して枯れ、周囲から芝を寄せても再生できなくなります。だからこそ「早さ」がそのまま回復力の差になります。
グリーンフィールゴルフ倶楽部(2020)とNEMU GOLF CLUB(2023)が公式サイトで公開している目安を、後続への影響も含めて整理すると次のとおりです。
| 修復タイミング | 芝の回復期間 | グリーン面の状態 | 後続プレーヤーへの影響 |
|---|---|---|---|
| 15分以内 | 約1日 | ほぼ元どおりに再生 | ほとんどなし |
| 1時間以内 | 約1週間 | 跡がうっすら残る | ライン上ならパットが乱れる |
| 翌日 | 約1ヶ月 | 枯れて茶色く変色 | 凹みがラインを曲げ続ける |
| 放置(無修復) | 回復せず | 凹んだまま枯れる | 全プレーヤーが影響を受け続ける |
出典: グリーンフィールゴルフ倶楽部『ボールマーク(ピッチマーク)修復のお願い』(2020)、NEMU GOLF CLUB公式サイト ゴルフ豆知識(2023)
「たかが凹み」が積み重なるとどうなるか
無修復の凹みは、自分の次のラウンドにも返ってきます。1つの凹みは小さくても、放置されればその場所は平らに戻りません。ラウンド者全員が1つずつ残せば、グリーンは凹みだらけになり、自分のパットも曲がるようになります。ピッチマーク修復は「他人のため」だけでなく、自分のスコアを守る行動でもあります。
翌日に直しても回復には約1ヶ月かかります。「後で誰かが直すだろう」の1時間が、1週間分の枯れに変わります。
その凹みは直していい?原因別の見分け方
グリーン上のボールマークやスパイク跡は無罰で直せますが、エアレーションの穴や自然の摩耗は規則上直せません。
ボールマーク修復のルールはどこまで?(規則13.1c)
グリーン上の人為的な損傷は、すべて無罰で修理できます。日本ゴルフ協会(JGA)『ゴルフ規則のオフィシャルガイド』(2023年1月施行)によると、2019年の規則改正以降、パッティンググリーン上ではボールマーク・スパイク跡・動物の足跡など、人や外的影響による損傷を罰なしに修理できます(規則13.1c)。自分のボールの跡かどうかは関係なく、プレーの前後どちらでも修理可能です。
規則上「直せない損傷」がある
エアレーションの穴や自然の摩耗は修理の対象外です。同ガイドでは、エアレーション(コース整備)の穴、自然の摩耗や凸凹、雑草などは規則13.1cの「損傷」に当たらないとされています。良かれと思って直すと、ストロークに影響する状態の改善とみなされるおそれがあるため、触らないのが正解です。
カラーやフェアウェイの凹みは?(規則8.1a)
カラーはグリーンではなくジェネラルエリア扱いです。ゴルフダイジェストのルールQ&A(2019)によると、プレーの線上にあるカラーのボールマークをプレー前に直すと「ストロークに影響を及ぼす状態の改善」(規則8.1a違反)で2罰打になります。見た目が似ていても、グリーン上とはルールが異なる点に注意してください。
【診断チャート】その凹み、直していい?
- Q1. 凹みはどこにある?
- グリーン上 → Q2へ
- カラー → プレー前に直すのはNG。直すと2罰打(規則8.1a)。ホールアウト後ならOK
- フェアウェイ(ディボット跡) → フォークではなく目土で対応
- Q2. (グリーン上の場合)凹みの原因は?
- ボールマーク・スパイク跡・動物の足跡 → 無罰で修理OK(規則13.1c)
- エアレーションの穴・自然の摩耗や凸凹 → 修理NG(規則13.1cの対象外)
迷ったら「グリーン上か」「人為的な損傷か」の2つで判断。両方YESなら無罰で直せます。
ピッチマークの直し方は?正しい4ステップ
正しい直し方は「外側から斜めに刺す→柄を立てる→3〜4ヶ所繰り返す→パターソールで均す」の4ステップです。
基本の4ステップ
- 外側から斜めに刺す: ピッチマークの中心ではなく、少し外側の健康な芝の際に、フォークを斜め45度前後で差し込みます。
- 柄を垂直に立てる: 刺したフォークの柄を手前に起こし、垂直に立てます。てこの要領で周囲の芝が凹みの中央へ寄ります。このとき芝を上に持ち上げないことが最大のコツです。
- 周囲3〜4ヶ所で繰り返す: タバタゴルフ公式の解説にあるとおり、凹みを囲むように3〜4ヶ所で同じ動作を繰り返し、四方から芝を寄せます。
- パターのソールで均す: 最後にパターの底面で上から軽く押さえ、周囲と同じ高さに整えます。
きれいに直ったかの確認方法
確認の基準は色ではなく表面の高さです。寄せた芝の色が多少まだらでも、表面が周囲と同じ高さに揃っていれば、ボールの転がりへの影響はほぼ解消します。逆に、見た目が整っていても凹みが残っていればラインは曲がります。指先で軽くなでて、段差がないかを確かめましょう。
イメージは「穴を埋める」ではなく「周りの芝でフタを閉める」。凹みの底を持ち上げようとした瞬間に、根が切れて枯れの原因になります。
グリーンフォークの1本刃・2本刃の違いは?タイプ別の使い方
2本刃は芝を寄せやすく初心者向き、1本刃は軽量な分だけ回数が必要、スライド収納式は片手操作と安全性が利点です。
タイプ別の特徴と選び方
迷ったら2本刃を選べば失敗がありません。2本刃は接地が安定し、1回で寄せられる芝の量が多いのが長所です。1本刃は軽くて携帯しやすい一方、接地面積が小さいため、浅めに刺して回数を増やす必要があります。スライド収納式は刃をしまえるためポケットに入れても安全で、片手で出してすぐ使えます。
なお、価格.comのグリーンフォーク人気ランキング(2026年5月)ではアルミ製軽量の2本刃タイプ(ブリヂストンGAG402など)が上位を占め、my-bestのおすすめランキングも2026年7月版に更新されるなど、定番は2本刃に集まっています。
【刃タイプ別】手順チェックリスト
2本刃(標準)
- [ ] 外側から斜め45度に刺す
- [ ] 柄を立てて芝を中央へ寄せる
- [ ] 周囲3〜4ヶ所で繰り返す
- [ ] パターソールで均す
1本刃
- [ ] 刺す回数を2本刃より増やす
- [ ] 1回ごとに浅めに、少しずつ寄せる
- [ ] 深く刺しすぎない
- [ ] 仕上げは同じくパターソールで均す
スライド収納式
- [ ] 親指で刃を出してから使う
- [ ] 片手で外側から刺す
- [ ] 柄を起こして寄せる(以降は2本刃と同じ)
- [ ] 使用後は刃を収納してからポケットへ
全タイプ共通のNGチェック
- [ ] 中心に刺していないか
- [ ] 芝を根ごと持ち上げていないか
- [ ] 外側へこじっていないか
グリーンフォークを忘れたときは?
ティーでの代用は可能ですが、借りるのが確実です。規則13.1cは修理に使う道具を指定していないため、ティーやマーカーで直すこと自体は問題ありません。ただし細いティーは一度に寄せられる芝が少なく、深く刺さりやすいので難易度は上がります。スタート前に気づいたら、マスター室(受付)で借りるか購入しましょう。
初めての1本なら軽量の2本刃が扱いやすい定番です。まず標準形で手順を体に覚えさせましょう。
予防・再発防止のコツ——「+1」の習慣
再発防止の鍵は、すぐ取り出せる場所にフォークを携帯し、自分の跡に加えてもう1つ直す「+1」の習慣です。
携帯の工夫: グリーンに上がるたびにカートへ取りに戻るようでは続きません。パンツのポケット、キャディバッグのカラビナ、ボールマーカー一体型など、「グリーン上で手ぶらでも出せる」定位置を決めましょう。
ルーティン化: グリーンに乗ったら「①自分のボールの落下地点を見る→②マークする→③ピッチマークを直す」を毎回同じ順序で行うと、直し忘れがなくなります。高い弾道でグリーンを捉えたときほど深い凹みができているので、特に注意して探してください。
「+1」マナー: 自分の跡を直したら、目に入った直し忘れの跡をもう1つ直します。前述のとおり放置された凹みは回復しないため、プレーヤー同士の「+1」だけがグリーンを平らに保てます。同伴者のパットを待つ時間でできる範囲で十分です。
「定位置に携帯」「マークとセットで修復」「+1」の3つで、直し忘れはほぼゼロにできます。
専門家・公的情報の見解
JGAのゴルフ規則もゴルフ場の公式アナウンスも、一致して「早く・正しく直す」ことを推奨しています。
日本ゴルフ協会(JGA)『ゴルフ規則のオフィシャルガイド』(2023年1月施行)は、規則13.1cを次のように整理しています。
パッティンググリーン上では、ボールマークやスパイク跡、動物の足跡など、人や外的影響によってできた損傷は罰なしに修理できる。ただしエアレーションの穴や自然の摩耗・凸凹は修理の対象にならない(規則13.1cの要旨)。
また、グリーンフィールゴルフ倶楽部(2020)やNEMU GOLF CLUB(2023)は、修復タイミング別の回復期間(即修復なら1日、1時間後なら1週間、翌日なら1ヶ月)を公式サイトで公開し、来場者に即時修復を呼びかけています。ルールとコース管理の両面から見て、「見つけたらすぐ直す」が共通の答えです。
ゴルフ規則は数年ごとに改訂されます。最新の条文はJGA公式サイトのゴルフ規則ページで確認できます。
やってはいけないNG対応
最大のNGは中心に刺して芝を持ち上げることで、根が切れて枯れ、修復どころか回復を遅らせます。
- 中心に刺して持ち上げる: 凹みの底をすくい上げると、生きている根が切れて枯れます。見た目は直っても数日後に茶色く変わります。
- 外側へこじる: フォークを外向きにねじる動作も同様に根を切ります。動かす方向は常に「中央へ寄せる」の一方向です。
- 均さずに終える: 芝を寄せただけでは表面が凸凹のままで、ラインへの影響が残ります。パターソールでの仕上げまでが修復です。
- カラー上をプレー前に直す: ジェネラルエリア扱いのため、プレーの線上なら規則8.1a違反で2罰打です。直すのはホールアウト後にしましょう。
- エアレーションの穴を直す: 規則13.1cの修理対象外です。親切心でも触らないのが正解です。
「深く刺してグリグリ」は、直しているつもりで芝を枯らす典型動作です。刺す→立てる、のシンプルな動きだけで十分に直ります。
まとめ:次のラウンドでやること
要点は3つです。①ピッチマークは見つけたらすぐ(目安15分以内)直す、②「外側から刺して立てる×3〜4ヶ所→パターで均す」の手順を守る、③直してよいのはグリーン上の人為的な損傷だけ、という線引きを覚えておくことです。
次のラウンドでは、スタート前にグリーンフォークをポケットに入れ、最初のグリーンで1回試してみてください。1ホール目で手順を体に入れれば、あとは自然に続けられます。
「すぐ直す(1日で再生)」「正しく直す(外から寄せる)」「直せる場所を見極める(グリーン上のみ無罰)」——この3点がグリーンフォーク使いこなしのすべてです。
よくある質問
他人のピッチマークも直していいですか?
はい、グリーン上の損傷なら自分のもの以外でも無罰で修理できます(規則13.1c)。むしろ自分の跡に加えてもう1つ直す「+1」が、グリーンを守る実践的なマナーです。
グリーンフォークがないとき、ティーで代用できますか?
代用は可能です。規則は修理に使う道具を指定していないため、ティーやマーカーでも直せます。ただし一度に寄せられる芝が少なく難しいので、マスター室で借りるか購入するのが確実です。
カラーの上のボールマークはいつ直せばいいですか?
そのホールのプレーが終わってからにしましょう。カラーはジェネラルエリアのため、プレーの線上をプレー前に直すと規則8.1a違反で2罰打になります(ゴルフダイジェスト ルールQ&A・2019)。
1本刃と2本刃、初心者はどちらを選ぶべきですか?
2本刃がおすすめです。接地が安定して一度に寄せられる芝が多く、基本手順どおりに動かすだけで直せます。価格.comの人気ランキング(2026年5月)でもアルミ製軽量の2本刃が上位です。
ピッチマークを放置するとペナルティはありますか?
規則上の罰はありません。ただしゴルフ場公式データでは放置された凹みは回復せず残り続けるため、マナーとしては明確なNGです。修復は全プレーヤーの共同作業と考えましょう。




